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「ISO規格で定義されています」
ウルトラファインバブルの説明で、よく見かける一文です。たしかにこれは事実で、しかも技術の信頼性を語るうえで重要な事実でもあります。
ただし、この一文だけを見て「規格に沿っている=性能が高い」と受け取ってしまうと、意味がずれます。規格が決めたことと、決めていないことがあるからです。
まず結論
ウルトラファインバブルは ISO 20480-1:2017「ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定の一般原則-第1部:用語」で定義されています。2017年6月22日発行、ファインバブル技術の専門委員会 ISO/TC 281 による国際規格の第1号です。
定義の中身は、直径によるサイズの区分です。ファインバブルが100μm未満、そのうちマイクロバブルが1〜100μm、ウルトラファインバブルが1μm未満。日本国内では JIS B 8741-1:2019 が対応します。
ここで押さえておきたいのは、この規格が定めたのが「用語」と「測定の一般原則」であって、個数濃度も寿命も効果も定義に含まれていないという点です。
規格は、バラバラだった呼び方と測り方に共通の物差しを作ったもの。物差しができたから比較の土俵が整った、という段階の話です。
◆この記事でわかること
- ・ISO 20480-1:2017 が定めた内容と、その位置づけ
- ・「1μm未満」という書き方の正確な意味
- ・なぜ規格が必要になったのか
- ・ISO・TC・JIS の関係
- ・規格が定めていないこと(個数・寿命・効果)
- ・「ISO準拠」という表示をどう読むか
◆ISO 20480-1:2017 が定めたこと
まず基本情報を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規格番号 | ISO 20480-1:2017 |
| 表題 | ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定の一般原則-第1部:用語 |
| 発行日 | 2017年6月22日 |
| 策定した委員会 | ISO/TC 281(ファインバブル技術専門委員会) |
| 位置づけ | ISO/TC 281 が発行した国際規格の第1号 |
| 対応する日本の規格 | JIS B 8741-1:2019(同名) |
表題の最後に「第1部:用語」とあります。つまりこの規格は、言葉の意味を決めることを目的にした文書です。「第1部」という書き方は、続く部が想定されているシリーズであることも示しています。
◆定義されたのは「直径」による区分
定義の中身はシンプルです。気泡の直径によって、名前を分けました。
| 名称 | 直径 | 位置づけ |
|---|---|---|
| ファインバブル | 100μm未満 | 総称(下記2つを含む) |
| └ マイクロバブル | 1〜100μm | ファインバブルの一種 |
| └ ウルトラファインバブル | 1μm未満 | ファインバブルの一種 |
| (参考)ミリバブル | 100μm以上 | ファインバブルには含まれない |
出典: ISO 20480-1:2017 / JIS B 8741-1:2019
「ファインバブル」は総称であり、マイクロバブルとウルトラファインバブルの親にあたる言葉だという点は、意外と誤解されやすいところです。「ファインバブル製品」という表記だけでは、どちらの領域を指しているかまでは分かりません。
サイズが変わると水中での振る舞いがどう変わるかは 3つの泡の違いを整理した記事で扱っています。
◆「1μm未満」の"未満"——上限だけが決まっている
ここは、規格を正確に読むうえで大事なポイントです。
ウルトラファインバブルの定義は「1μm未満」。つまり上限だけが決められていて、下限は定められていません。
この書き方が意味するのは、次のようなことです。
- ・1μmをわずかに下回る泡も、はるかに小さい泡も、どちらも同じ「ウルトラファインバブル」と呼ばれる
- ・したがって「ウルトラファインバブルである」ことだけでは、実際のサイズまでは特定できない
- ・製品を比べるなら、区分名ではなく実際の気泡径がどう示されているかを見る必要がある
「ナノサイズ」「◯nm」といった具体的な数値の記載があるかどうかで、情報の粒度は大きく変わります。区分名だけが並んでいる場合は、その言葉が保証しているのは上限だけだと理解しておくのが安全です。
◆なぜ規格が必要になったのか
規格ができる前、この分野の呼び方は統一されていませんでした。
「ナノバブル」「マイクロナノバブル」「超微細気泡」——同じような泡に、事業者ごとに違う名前が付けられていた時期があります。名前が違えば、比較のしようがありません。研究の成果を持ち寄っても、同じものを議論しているのかどうかすら確認できない状態です。
その後、用語が整理され、現在は「ウルトラファインバブル」という名称が使われるようになりました。かつて「ナノバブル」と呼ばれていた領域が、この呼称に整理されたかたちです。両方の表記がまだ併存しているため、製品を比較するときは呼び方ではなく、記載されているサイズを見るのが確実です。
なお日本はこの分野で先行していたことから、標準化の議論を主導する立場となりました。技術の成り立ちは ウルトラファインバブルの歴史をたどった記事にまとめています。
◆ISO・TC・JIS の関係を整理する
規格の話には略語が多く出てきます。関係を整理しておきます。
ISO(国際標準化機構)
国際的な標準を定める組織です。「ISO 20480-1:2017」という表記のうち、末尾の年はその版が発行された年を示します。
TC(専門委員会)
TC は Technical Committee の略で、分野ごとに設けられた専門委員会です。ファインバブル技術には ISO/TC 281 が置かれています。規格は、この委員会での議論を経て発行されます。
JIS(日本産業規格)
日本国内の規格です。国際規格に対応するかたちで整備されることが多く、ファインバブルの用語については JIS B 8741-1:2019 が制定されています。
つまり国際規格 → 国内規格という流れで、同じ定義が国内にも下りてきている、という構図です。
◆規格が定めていないこと
ここが、この記事でいちばん強調したい部分です。
| 項目 | 用語の規格での扱い |
|---|---|
| 気泡の直径 | 定義されている(100μm未満/1〜100μm/1μm未満) |
| 個数濃度(1mLあたり何個か) | 定義に含まれない |
| どれくらい長く水中に残るか | 定義に含まれない |
| 中に入っている気体の種類 | 定義に含まれない |
| 洗浄などの効果 | 定義に含まれない |
| 製品の優劣 | 定義に含まれない |
用語の規格が扱っているのは、あくまで言葉の意味と、測定にあたっての一般的な考え方です。「この規格に沿っている製品は性能が高い」ということを述べた文書ではありません。
言い換えれば、規格はスタートラインです。同じ土俵に乗るための条件であって、土俵の上での順位を決めるものではない、ということです。
◆「ISO準拠」という表示をどう読むか
製品ページに「ISO規格準拠」「ISO基準クリア」といった表示があった場合、次の順に確認すると誤読が減ります。
- ・① 何の規格か(用語の規格か、測定方法の規格か)
- ・② 何が準拠しているのか(定義に当てはまる、という話か。測定手順の話か)
- ・③ 気泡径が数値で示されているか
- ・④ 個数を示すなら、測定条件が併記されているか
「規格の名前が書いてあるかどうか」ではなく、その規格が何を保証する文書なのかまで見る。スペック表全体の読み方は 泡の「数」や「特許」の文字だけで選ぶと後悔する理由にまとめています。
◆規格は、いまも増え続けている
ISO 20480-1:2017 は「第1号」であり「第1部」でした。
用語の次に必要になるのは、測り方の統一です。ウルトラファインバブルは目に見えず、測定方法によって数値が変わりうるため、測定の規格化はこの分野の中心的な課題であり続けています。
現在どのような規格が整備されているかは、業界団体が公開している ISO・JIS規格の一覧で確認できます。この分野がいまも整備の途上にあることは、一覧を見れば実感できるはずです。
◆よくある質問
Q. ISO規格に適合していれば、性能が高いのですか?
いいえ。ISO 20480-1 は用語の定義と測定の一般原則を定めた規格です。共通の物差しを作ったもので、製品の優劣を決めるものではありません。
Q. 「ナノバブル」と書かれている製品は別物ですか?
ほぼ同じ領域を指します。かつて「ナノバブル」と呼ばれていた1μm未満の泡が、用語の整理を経て「ウルトラファインバブル」という呼称に整理されました。表記ではなく、記載されているサイズを確認してください。
Q. 「ファインバブル」と書いてあれば、ウルトラファインバブルですか?
そうとは限りません。ファインバブルは100μm未満の総称で、マイクロバブル(1〜100μm)も含みます。1μm未満かどうかは、別に確認する必要があります。
Q. 規格には泡の個数の基準もありますか?
用語を定めた ISO 20480-1 の定義には含まれていません。個数濃度は測定の対象であり、「何個以上ならウルトラファインバブル」という基準はありません。
Q. JISとISOで、定義が違うことはありますか?
ファインバブルの用語については、JIS B 8741-1:2019 が ISO 20480-1:2017 と同名の規格として制定されています。国際規格に対応する形で国内規格が整備されている、という関係です。
◆まとめ
✔ ISO 20480-1:2017(2017年6月22日発行)は、ISO/TC 281 による国際規格の第1号
✔ 定義はサイズ区分。ファインバブル100μm未満/マイクロバブル1〜100μm/UFB 1μm未満
✔ 「1μm未満」は上限だけの定義。下限はなく、区分名から実際のサイズは特定できない
✔ 国内では JIS B 8741-1:2019 が対応する
✔ 規格が定めたのは用語と測定の一般原則。個数・寿命・気体種・効果は定義に含まれない
✔ 規格適合は「同じ土俵に乗る条件」であって、順位を決めるものではない
✔ 測定方法の規格化は、いまも整備が続いている領域
規格は、技術を語るための共通言語です。言葉が揃ったからこそ、次は中身を見る段階に入る。期待値の置き方については 「効果なし」と言われる理由を検証した記事もあわせてご覧ください。なお効果の感じ方には個人差があります。
ウルトラファインバブルフレスカは、住宅の水道元栓に設置する全館型のウルトラファインバブル発生装置です。接続規格はG3/4、外形全長は約80mm。水圧を利用する構造のため電源が不要で、消耗品の交換も前提としていません。
規格や仕様について確認したい点があればお答えします。ご自宅の水圧や配管によって設置条件が変わりますので、導入前の確認も承っています。
◆参考
- ・ISO 20480-1:2017「ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定の一般原則-第1部:用語」(2017年6月22日発行 / ISO/TC 281)
- ・JIS B 8741-1:2019(同名の日本産業規格)
- ・一般社団法人ファインバブル産業会「標準化活動」
- ・同「ISO・JIS規格リスト」
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