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ウルトラファインバブルという言葉を、シャワーヘッドや洗濯機の広告で目にした方は多いと思います。
「最近出てきた新しい技術」——そう思われがちですが、実際は違います。
まず結論
ウルトラファインバブルは、40年以上前から日本で研究が続けられてきた技術です。
しかも出発点は、美容でも家電でもありませんでした。ダム貯水池の水質浄化、そして広島湾のカキ養殖を救うことだったのです。
2017年には日本が議論を主導する形で国際規格(ISO 20480-1)が制定され、用語と測定方法が世界共通の基準になりました。
◆この記事でわかること
- ・マイクロバブル技術が生まれた背景
- ・広島湾のカキ養殖で何が起きたのか
- ・マイクロバブルからウルトラファインバブルへの発展
- ・日本が国際標準化を主導した経緯
◆① 1980年代、一人の研究者から始まった
マイクロバブル技術の研究を切り拓いたのは、徳山工業高等専門学校 土木建築科の大成博文教授です。
大成教授は1980年代初めから、微細な気泡を発生させる技術を独自に開発してきました。専門は水工水理学。土木工学の中でも、水の流れや水環境を扱う分野です。
最初の目的は「水質浄化」だった
研究の出発点は、ダム貯水池の水質浄化でした。
閉鎖的な水域では、水が滞留することで水質が悪化します。特に深い層では酸素が不足し、生き物が住みにくい環境になっていきます。この状態をどう改善するか——それが当初の課題でした。
当時、微細な泡が水環境にもたらす作用は、まだ広く知られていませんでした。誰もが注目する研究テーマだったわけではありません。
◆② 広島湾で起きていたこと
広島県は、全国有数のカキの産地です。
しかし当時、広島湾ではカキの大量斃死(へいし)が続いていました。水質の悪化や赤潮の発生により、養殖業は深刻な打撃を受けていたのです。
生産者にとっては生活に直結する問題です。育てたカキが死んでしまえば、その年の収入が失われます。有効な対策が強く求められていました。
ここで、水質浄化のために開発されていたマイクロバブル技術が結びつきます。
◆③ マイクロバブルがカキを救った
大成教授のマイクロバブル技術は、カキ養殖の現場に応用されました。
その成果は、2002年に発表された論文「マイクロバブル技術によるカキ養殖効果」(水工学論文集 第46巻)にまとめられています。広島県庁や中電技術コンサルタントの研究者との共同研究でした。
論文で報告されている成果
- ・大量斃死が続いていたカキの生育が改善した
- ・成長が促進され、養殖期間が大幅に短縮された
- ・品質が向上した
- ・生産額の増大につながった
水に微細な泡を送り込む。技術としてはそれだけのことが、産業の課題を解決した事例になりました。
なぜ泡が効いたのか
主な要因として考えられているのが、水中の溶存酸素の改善です。
通常の泡は水面まで浮上してすぐに消えてしまいますが、微細な泡は水中にとどまる時間が長く、その分だけ酸素が水に溶け込みやすくなります。カキのような水中の生き物にとって、酸素は生育を左右する条件です。
この「水中に長くとどまる」という性質が、後にウルトラファインバブルで決定的に重要になっていきます。
◆④ マイクロバブルからウルトラファインバブルへ
研究が進む中で、泡はさらに小さくできることが分かってきました。
そして、あるサイズを境に泡の振る舞いがまったく変わることも明らかになっていきます。
| マイクロバブル(1〜100μm) | ウルトラファインバブル(1μm未満) | |
|---|---|---|
| 見え方 | 白く濁る | 目に見えない |
| 動き | ゆっくり浮上する | 浮上しない |
| 最終的に | 水中で収縮し消滅する | 長時間水中に残る |
1μm未満まで小さくなると、浮力がほとんど働かなくなります。泡は浮上せず、水中を漂い続ける。この極小の泡が、現在ウルトラファインバブルと呼ばれているものです。
当初は「ナノバブル」という呼称が一般的でしたが、後の用語整理を経て現在の名称になりました。
◆⑤ 呼び方がバラバラだった時代
技術が広がるにつれ、ある問題が生じました。
呼び方も定義もバラバラだったのです。
同じ「微細な泡」でも、メーカーによってナノバブル、マイクロナノバブル、ウルトラファインバブル、超微細気泡……と表記が異なりました。しかも、どのサイズを指しているのかも統一されていません。
これでは製品を比べることができません。ユーザーにとっても、業界にとっても不便な状態でした。
◆⑥ 日本が主導した国際標準化
そこで進められたのが、ISO(国際標準化機構)による用語と測定方法の国際規格化です。
日本はこの分野で先行していたことから、標準化の議論を主導する立場となりました。
2017年、国際規格の第1号が発行
その成果が、ISO 20480-1:2017「ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定の一般原則-第1部:用語」です。2017年6月22日に発行されました。
これは、ファインバブル技術の専門委員会(ISO/TC 281)が発行した国際規格の第1号にあたります。日本国内でも JIS B 8741-1:2019 として対応規格が制定されました。
この規格によって、次の定義が世界共通のものになりました。
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| ファインバブル | 直径100μm未満の泡(総称) |
| マイクロバブル | 直径1〜100μmの泡 |
| ウルトラファインバブル | 直径1μm未満の泡 |
国内では、一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)が業界団体として、技術の普及と標準化、製品の認証登録制度の運営に取り組んでいます。
◆⑦ そして家庭へ
産業分野で実績を積んだ技術は、装置の小型化とともに家庭へと降りてきました。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 1980年代〜 | ダム貯水池の水質浄化を目的とした研究が始まる |
| 2000年代前半 | カキ養殖への応用。論文で成果が報告される |
| 2000年代〜 | 農業・水産・工業洗浄など産業分野へ展開 |
| 2017年 | ISO 20480-1:2017 発行(ISO/TC 281の国際規格第1号) |
| 2019年 | JIS B 8741-1:2019 として国内規格化 |
| 近年 | シャワーヘッド・洗濯機・住宅設備など家庭向け製品が普及 |
現在も、農業(水耕栽培)、水産(養殖)、医療器具の洗浄、工業用の洗浄工程など、幅広い分野で応用が続いています。
ウルトラファインバブルフレスカも、この技術の系譜の上にある製品です。水圧だけで微細気泡を発生させ、電源も薬剤も使いません。40年以上かけて磨かれてきた「水の力を引き出す」という発想が、住宅設備という形になったものです。
◆歴史を知ると、製品の見方が変わる
この歴史から分かることが2つあります。
① 流行の言葉ではなく、積み重ねられた技術である
40年以上の研究があり、学術論文があり、国際規格がある。ウルトラファインバブルは、そういう背景を持つ技術です。
② 「効く場面」と「効かない場面」がある
研究の出発点は水質浄化と養殖でした。共通しているのは、水そのものの状態を変えるという発想です。
逆に言えば、この技術は「強力な洗剤の代わり」ではありません。水を使うたびに少しずつ働く性質のものです。この理解があるかどうかで、家庭で導入したときの評価も変わってきます。
◆よくある質問
Q. ウルトラファインバブルは新しい技術ですか?
技術そのものの研究は1980年代から続いています。家庭向け製品として普及したのが近年である、というのが正確な理解です。
Q. なぜ日本で発展したのですか?
水産養殖や水質浄化といった、水にまつわる具体的な産業課題があったことが背景にあります。研究の出発点が現実の課題だったことが、実用化を後押ししました。
Q. 産業用と家庭用で仕組みは違いますか?
気泡を発生させる原理は共通していますが、求められる水量や設置環境に応じて装置の構造が異なります。
Q. ISO規格に適合していれば性能が高いのですか?
いいえ。ISO 20480-1 は用語の定義と測定の一般原則を定めた規格です。共通の物差しを作ったもので、製品の優劣を決めるものではありません。
Q. カキ養殖の成果は、家庭での効果を保証するものですか?
いいえ。論文で報告されているのは養殖環境での成果であり、家庭での使用効果を示すものではありません。技術の背景としてご理解ください。
◆まとめ
✔ マイクロバブル技術は1980年代、徳山工業高等専門学校の大成博文教授が開発を進めた
✔ 出発点はダム貯水池の水質浄化。美容や家電ではなかった
✔ 広島湾のカキ養殖に応用され、生育改善・成長促進・品質向上・生産額増大が論文で報告された
✔ 研究の発展の中で、1μm未満のウルトラファインバブルが見出された
✔ 用語と測定方法は ISO 20480-1:2017 で国際規格化され、日本がその議論を主導した
ウルトラファインバブルは、流行の言葉ではなく、積み重ねられた研究の上に立つ技術です。その背景を知っておくと、製品を選ぶときの見方も変わってくるのではないでしょうか。
この技術を家庭で使う方法のひとつが、水道の元栓に装置を設置して家じゅうの水を変えるという方式です。
ウルトラファインバブルフレスカはこの元栓設置方式を採用しており、電源も消耗品も使いません。ご自宅の配管や水圧によって設置条件が異なりますので、導入前の確認を承っています。
◆参考
- ・大成博文・高木直人・前田邦男・山原康嗣・入江純一「マイクロバブル技術によるカキ養殖効果」水工学論文集 第46巻(2002年2月)
- ・ISO 20480-1:2017「ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定の一般原則-第1部:用語」(2017年6月22日発行)
- ・JIS B 8741-1:2019(同名の日本産業規格)
- ・一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)
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