海外でのウルトラファインバブル普及と日本の立ち位置|国際規格から読み解く

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「ウルトラファインバブルは日本発の技術です」——製品の説明でよく見かける一文です。

では、海外ではどれくらい使われているのでしょうか。日本だけの技術なのでしょうか。

調べてみると、この問いに数字で答えるのは意外に難しいことが分かります。

まず結論

海外での普及率を示す信頼できる一次データは、簡単には見つかりません。この記事でも、国別の普及率や市場規模の数字は書きません。

代わりに確かなのは、ファインバブル技術の国際規格が存在するという事実です。国際標準化機構に専門委員会(ISO/TC 281)が設けられ、その第1号として ISO 20480-1:2017 が発行されました。

国際規格が成立するということは、複数の国が関わる議論の場が成立しているということです。そこから読み取れることを、この記事では整理します。


◆この記事でわかること

 

  • ・海外の普及状況について、なぜ数字で語りにくいのか
  • ・国際規格の成立から読み取れること
  • ・ISO・JIS・業界団体が、それぞれ何を担っているのか
  • ・「日本発の技術」という説明の、正確な意味
  • ・市場規模の数字を見かけたときの確認手順

 


◆① 「海外での普及率」を示す一次データは見つけにくい

 

最初にお断りしておきます。

この記事を書くにあたり、海外でのウルトラファインバブル製品の普及率を示す公的な統計を探しましたが、そのまま引用できる一次データにはたどり着けませんでした。

理由はいくつか考えられます。

  • ・ファインバブル技術は、家電・住宅設備・農業・水処理・工業洗浄など分野をまたいで使われているため、ひとつの統計項目にまとまりにくい
  • ・装置に組み込まれた部品として使われる場合、製品分類上は「ファインバブル製品」として集計されない
  • ・用語が国際規格として統一されたのが2017年であり、それ以前の統計とは呼び方がそろっていない

 

したがってこの記事では、数字を書かないという選択をしています。書けないものを書かないことも、情報としての誠実さだと考えています。


◆② 確かなのは、国際規格の枠組みができていること

 

数字がなくても、確かめられる事実はあります。

国際標準化機構(ISO)には、ファインバブル技術を扱う専門委員会 ISO/TC 281 が置かれています。そしてこの委員会が発行した国際規格の第1号が、ISO 20480-1:2017「ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定の一般原則-第1部:用語」(2017年6月22日発行)です。

ここで押さえておきたいのは、国際標準化機構に専門委員会が設けられること自体が、その技術が国際的な関心事になっている証拠だということです。

ひとつの国の中だけで完結する技術に、国際規格は必要ありません。輸出入があり、複数国のメーカーが製品を出し、比較の必要が生じたときにはじめて、共通の物差しが求められます。


◆③ 国際規格ができるまでに起きること

 

規格ができる過程を知っておくと、この事実の重みが分かります。

国際規格は、誰か一人が決めて公布するものではありません。専門委員会が設けられ、参加国の専門家が議論を重ね、草案を作り、意見を集め、投票を経て発行に至ります。年単位の時間がかかります。

とくに「用語」の規格は、地味に見えて難所です。国や業界によって呼び方が違うものを、ひとつの定義にそろえる作業だからです。

この技術の場合、統一前は次のような状態でした。

  • ・ナノバブル
  • ・マイクロナノバブル
  • ・超微細気泡
  • ・ウルトラファインバブル

 

呼び方が違うだけでなく、どのサイズを指しているのかもそろっていませんでした。この状態では、製品同士を比べることも、研究成果を共有することもできません。

呼称が整理されて現在の名称に落ち着いた経緯については、技術の歴史をたどった記事で扱っています。


◆④ 日本が議論を主導する立場になった背景

 

この分野で日本は、標準化の議論を主導する立場となりました。

背景にあるのは、研究と実用化が先行していたという経緯です。

微細気泡技術の研究は、1980年代初めから日本国内で進められてきました。徳山工業高等専門学校 土木建築科の大成博文教授が、ダム貯水池の水質浄化を目的として独自に開発を進めたのがその出発点です。

その技術は広島湾のカキ養殖に応用され、成果は「マイクロバブル技術によるカキ養殖効果」(水工学論文集 第46巻・2002年2月)という論文にまとめられています。

研究の蓄積と、産業現場での応用経験。この2つがあったことが、議論をリードできた土台だと考えられます。

なお、ISO/TC 281 の設立年や、日本の関与の具体的な内容については、この記事では書きません。一次情報として確認できていないためです。


◆⑤ 国内規格としての JIS B 8741-1:2019

 

国際規格が発行されると、それを国内の規格に取り込む作業が行われます。

ファインバブル技術の場合、JIS B 8741-1:2019 が ISO 20480-1:2017 に対応する日本産業規格として制定されました。

国際規格と国内規格の内容がそろっているということは、国内で製品を評価する物差しと、海外での物差しが同じだということです。輸出入や、海外の研究成果を国内で参照する場面で、この一致は効いてきます。


◆⑥ ISO・JIS・業界団体の役割分担

 

似たような名前が並ぶので、それぞれ何をしているのかを整理しておきます。

 

担い手 役割 保証しているもの
ISO(国際規格) 用語と測定の一般原則を国際的に定める 共通の物差し
JIS(日本産業規格) 国際規格に対応する国内の規格を定める 国内での同じ物差し
業界団体(FBIA) 認証登録制度の運営、計測サービス、普及活動 測定方法の妥当性と品質管理

 

共通しているのは、いずれも「製品の性能の優劣」を決めるものではないという点です。物差しを作る側と、その物差しで測る側という関係になります。

この整理は、製品を選ぶときの見方にも直結します。詳しくは製品を見抜く判断基準をまとめた記事をご覧ください。


◆⑦ 用語が統一されると、何が変わるのか

 

「用語を決めただけでしょう」と思われるかもしれません。しかし、影響範囲は広いものです。

  • ・製品比較ができるようになる——同じサイズ区分で語れるようになり、他社製品との比較が成立する
  • ・研究成果を共有できる——論文の記述が国境をまたいで読み取れるようになる
  • ・誇大な表現を判定しやすくなる——定義から外れた使い方が明らかになる
  • ・取引の条件に書ける——仕様書に規格番号を書けるようになる

 

とくに3つ目は、消費者にとって直接の利益になります。「ウルトラファインバブル」という言葉を使う以上、1μm未満という定義から離れられないからです。

サイズによる分類そのものについては、3つの泡の違いを整理した記事で詳しく扱っています。


◆⑧ 市場規模の数字を見かけたら

 

インターネット上には、「世界のファインバブル市場は◯億ドル規模」といった記述が数多くあります。

こうした数字に出会ったときの確認手順を挙げておきます。

  • ・誰が出した数字か——調査会社名、公的機関名が書かれているか
  • ・いつの数字か——調査年が書かれているか
  • ・何を数えた数字か——どの製品分類を対象にしているか
  • ・実測か推計か——予測値であれば、その旨が書かれているか
  • ・元の資料にたどれるか——引用元のURLや報告書名が示されているか

 

これらが揃っていない数字は、確認のしようがありません。孫引きが重なるうちに、元の条件が失われていることも珍しくありません。

産業化の動向をまとめた民間のリサーチレポートも公開されていますが、公的統計とは性格が異なります。参照する場合は、調査の前提と対象範囲を確認したうえで扱うのが安全です。


◆⑨ 「日本発の技術」と言えること・言えないこと

 

ここまでを踏まえて、この表現の正確な意味を整理します。

 

内容
言えること 1980年代から日本国内で研究が進められてきた/産業応用の論文が国内から発表されている/標準化の議論を主導する立場となった/国際規格の第1号がファインバブル技術のものである
言えないこと 日本だけの技術である/海外では使われていない/日本製品が世界一である/海外の普及率がどれくらいか

 

「日本発」は起源の話であって、現在の優劣の話ではありません。ここを混ぜると、事実から離れていきます。

国内で家庭向け製品が目立つという事実

日本国内では、シャワーヘッド・洗濯機・給湯設備・住宅設備といった家庭向けのファインバブル製品が幅広く流通しています。家電量販店の売り場でも、実物を見ることができます。

これは観察できる事実ですが、「海外にはない」という意味ではありません。国内の状況を、海外の状況の裏返しとして語ることはできません。

言えるのは、国内では消費者が実物に触れる機会が多く、その分だけ情報も玉石混交になりやすい、ということです。判断の物差しを自分で持つ必要性は、むしろ高いと言えます。

また、実際に使ったときの効果の感じ方には個人差があります。普及の広がりと、個々の実感は別のものとして受け取るのが確実です。


◆よくある質問

 

Q. ウルトラファインバブルは日本だけの技術ですか?

いいえ。国際規格として ISO 20480-1:2017 が発行されており、専門委員会(ISO/TC 281)で国際的に議論されている技術です。日本は研究と実用化が先行し、標準化の議論を主導する立場となったという関係になります。

Q. 海外での普及率はどれくらいですか?

信頼できる一次データを確認できていないため、本記事では数字をお示ししません。分野をまたいで使われる技術のため、単一の統計にまとまりにくいという事情もあります。

Q. ISO規格に適合していれば、海外製品でも安心ですか?

ISO 20480-1 は用語と測定の一般原則を定めた規格であり、製品の性能や安全性を保証するものではありません。共通の物差しがある、という意味に限定して受け取るのが正確です。

Q. 海外製の装置を個人輸入して設置できますか?

住宅の給水設備に接続する製品は、接続規格・水圧・設置基準が国や地域によって異なります。設置の可否や施工の扱いは個別の判断になりますので、水まわりの施工を扱う事業者にご確認ください。

Q. 「世界初」「世界No.1」という表示はどう見ればよいですか?

何を対象に、どの調査で、いつ時点の比較なのかが示されているかを確認してください。客観的な根拠が添えられていない表示は、判断材料として扱いにくいものです。


◆まとめ

 

✔ 海外での普及率を示す一次データは見つけにくく、本記事では数字を書かない
✔ 確かなのは、ISO/TC 281 という専門委員会が存在し、国際規格が発行されていること
✔ その第1号が ISO 20480-1:2017(2017年6月22日発行)
✔ 国内には対応規格 JIS B 8741-1:2019 がある
✔ 日本は研究と実用化が先行し、標準化の議論を主導する立場となった
✔ ISO・JIS・業界団体は、いずれも性能の優劣を決める仕組みではない
✔ 用語の統一は、製品比較と誇大表現の判定を可能にした
✔ 「日本発」は起源の話であって、現在の優劣の話ではない

数字がない話を数字なしで書くと、輪郭がぼやけて見えるかもしれません。それでも、出典のない数字を置くよりは確かだと考えています。

ウルトラファインバブルフレスカは、住宅の水道元栓に設置する全館型のウルトラファインバブル発生装置です。接続規格はG3/4、外形全長は約80mm。水圧を利用して気泡を生成する構造のため電源が不要で、フィルターなどの消耗品もありません。

日本の住宅の給水設備に合わせた製品ですので、元栓まわりの寸法・接続規格・水圧といった条件を確認したうえでご案内しています。月額制でのご導入にも対応しており、初期費用の負担を分散できます。

自宅に設置できるか相談する

 


◆参考

 

 


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